馬のち晴れ

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おすすめの本|競馬の血統学著書:吉沢譲治|前半

競馬に関する本はたくさんありますが、血統の歴史について知りたいなら吉沢譲治氏の「競馬の血統学」という本がおすすめです。

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この本が一番最初に書店に並んだのは1997年、2001年にライブラリー版、

2012年に新版が発刊されています。

旧版はもちろんディープインパクトオルフェーヴルなどの競走馬は登場していませんが、新版では近代競馬の馬を例に出して説明する修正、加筆が一部行われています。

基本的に内容は当時の趣旨のままですが、現在の近代競馬と重ね合わせて読んでみても興味深い内容です。

この記事では、私の感じたことと一緒に

簡単に章毎に要約してこの本のことを紹介したいと思います。

今回は1〜4章の前半部分を紹介します。

※見出しはこの本の目次を記載しています

 

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第1章血の宿命〜革命の使者セントサイモン

話は競馬先進国だった18世紀イギリスからから始まります。

強い馬をつくりたいという英貴族達の欲望からサラブレッドという生き物が生まれるのですが、第1章ではセントサイモンという馬が登場します。

このセントサイモンを巡って、近親繁殖から始まった血統という母系社会、その危険性について当時のイギリスを舞台に説明されています。

 

私は血統の歴史のことなど知らなかったのでセントサイモンのことももちろん知りませんでした。

ここで、近親繁殖によって強い馬が生まれてきたこと、血統の危うさというものがあることを知り、当時は倫理観もなにも軽視されている時代で、人間の罪深さを感じることになりました。

しかしそれと同時に現代に残る競馬という文化、スポーツ、娯楽、ビジネス、はたまた賭博という多角的なものができるまでに、こういったベースがなければできていないのだとも思いました。

第2章約束の血〜影の立役者ハイペリオン

次にセントサイモンの生まれ変わりと称されたハイペリオンという馬が登場します。

セントサイモンが現役を終えた後、イギリスは再び同じ興奮に包み込まれたのです。

そして再び同じ結末を辿ることに…この時代は馬が違えどイギリスでは歴史を繰り返していると取れるような説明がされています。

 

ここでハイペリオンを生産した人物17代目ダービー伯爵が登場するのですが、セントサイモンの3×4に取り憑かれたヤバい奴という大きな印象が私を飲み込みます。

好きすぎるでしょ!と。

執念がすごくて、ハイペリオンが成功するとその後更にその執念がエスカレートしてしまいます。

しかしこのダービー伯爵、次章にも登場する重要人物なのです。

 

 

第3章血の盲点〜近代サラブレッドの祖ネアルコ

ハイペリオンの誕生とほぼ同じ時間軸で、イタリアの馬産家フェデリコ・テシオがネアルコという近代競馬の礎とも言える馬を生み出します。

ここでは一流血統と雑草血統の掛け合わせとスピード・早熟の重要性についてと、それを実現させ、競馬をビジネスとして捉え生産を行なった馬産家フェデリコ・テシオについて説明されています。

ネアルコは第1章で登場したセントサイモンの5×4×4×5セントサイモンの凝縮血統でありながら、イギリスで言われる一流血統ではないから成功を収めたとあります。

イギリスで言われる一流血統ではないという理由は、母系にアメリカの血統が混ざっていた為でした。

 

テシオが牧場を創設してから約40年近く経ちネアルコが生まれるのですが、ネアルコが生まれた経緯が運命的で歴史のおもしろさを感じる場面でした。

ここで先に登場したセントサイモン狂のダービー伯爵がトリガーとなってくれるのです。

当時競馬後進国とされていて、現在も勢いは縮小傾向にあるイタリアですが、そこから大種牡馬となる馬が生まれるとは、今考えてみても興味深いなと感じます。

またテシオがスピードと早熟性に重きを置いて生産を行なったことは、まさに近代競馬に繋がっていることで、私たちが想像するサラブレッドを作った人物のように思いました。

 

第4章喧しい血〜偉大なる後継者ナスルーラ

ネアルコが大種牡馬で偉大だと証明したのが初年度産駒のナスルーラです。

競走成績のことでなく、種牡馬としての活躍がめざましかったのです。

ここでは気性に問題がありすぎたナスルーラが、売却されながらアメリカへ辿り着き、世界的に大成功を収めるまでの説明がされています。

 

ナスルーラを所有していたアガ・カーン三世という人物が登場するのですが、私は彼に対して価値観が違いすぎる大富豪というイメージを持ちました。

だって彼はダービー馬3頭や繁殖牝馬40頭近くを一気に売り飛ばしてしまうのですから。

ただこういった人物は、常に血の飽和状態を招いていたイギリスにおいて良くも悪くも影響を与え、結果的に必要な出来事だったと私は感じざるを得なかったです。

つまり彼が短期間で多くの一流馬を世界へ放出したことは世界全体に変革をもたらした功でありながら、イギリス競馬を衰退させた罪でもあったのです。

 

競馬の血統学|前半のまとめ

第1章セントサイモン

第2章ハイペリオン

第3章ネアルコ

第4章ナスルーラ

イラストでまとめています↓

ズームしてくださいm(_ _)m

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競馬の血統学|前半まとめ

 

難しいことは書いていなく、歴史を知っていくという内容の本です。

まずは前半1章〜4章まででした。

売ってたり売ってなかったりすることもありますが、しっかり内容を知りたい方は是非読んでみてほしいなと思います\( ˆoˆ )/